「うちの子にほくろがあるんだけど大丈夫?病気じゃないよね?」と心配なお母さんにも、「うちの子のほくろ目立つから取っちゃいたいなー」と考えてるお母さんにも参考になるはずです。
ほくろとは
まず簡単に、「そもそもホクロってなに?どんなもの?」について説明させてください。
ほくろとは、皮膚のなかにある「メラノサイト」という細胞が、「母斑細胞(ぼはんさいぼう・ほくろの細胞のこと)」に変化したものです。
ほくろの正式名称は「色素性母斑」や「母斑細胞性母斑」といいます。「ほくろ=母斑細胞でできたもの」なので、納得がいきますよね。
ほくろをこすっても取れないため、「なんか皮膚にへばりついているもの」みたいなイメージがあるかもしれませんが、そうではありません。
ほくろとは、皮膚の上から透けて見えている「ほくろの細胞」だということを、覚えておいてくださいね。
赤ちゃんにほくろができる原因
生まれて数ヶ月の赤ちゃんにもほくろができる原因は、「そもそもホクロってなんでできるの?」を知っていただくことで、理解することができます。
まず、赤ちゃんがお母さんのお腹にいるあいだに、赤ちゃんの体や臓器がどんどん作られていきますよね。
その過程で、赤ちゃんの体のなかで「メラノサイト(メラニン色素を作る細胞)」と「シュワン細胞(末梢神経に存在する細胞)」という2つの細胞が作られます。
ですが、そのどちらにもなれない「ちょっとできそこないの細胞」ができてしまいます。
それこそが、ほくろの細胞(母斑細胞)です。
赤ちゃんがお母さんのお腹にいるあいだから「ほくろの細胞」は持っている状態で、成長していく段階で「ほくろ」として現れる、ということになります。
どんな赤ちゃんでも生後数ヶ月でほくろができるのはあり得ることなので、もし心配されていたお母さんは安心してくださいね。
親から遺伝する?
「ほくろの多さは親からの遺伝で決まる」という噂がありますが、事実かどうかは解明されていません。
「あたらしい皮膚科学第2版(北海道大学)」では、生まれつきできるほくろは「一般的に遺伝性を認めない。」としています。
しかし、「ヒトはなぜ眠くなるのか(土肥 一郎)」という本には、「ほくろのできやすい体質は、遺伝することで知られている」と書かれていました。
人(機関)によって言っていることが違うため、事実は分からない状態です。。
生後何か月でほくろができる?
671人の赤ちゃんを実際に見て「生まれてからどれくらいでほくろができるのか」を、実際に検証したデータがあります。(日本皮膚科学会誌 中島啓雄)
そのデータによると、
生後6ヶ月までにほくろができた赤ちゃんが66.2%。
生後5年までだと、77.8%の赤ちゃんにほくろができていたそうです。
つまり、生後6ヶ月の赤ちゃんの2人に1人に以上は、1つ以上のほくろがある。ということです。
赤ちゃんのほくろが膨らむのは生後何ヶ月?
大人にあるほくろは「平べったいもの」と「ボコッと膨らんでいるもの」があるけど、赤ちゃんのホクロも膨らむの?いつから?と疑問に思いませんか?
「ほくろの膨らみを徹底リサーチ!膨らむ原因と予防法・皮膚ガンの可能性?」でも説明していますが、ほくろが膨らむ原因は、まだまだ研究段階のためハッキリとは分かっていません。
ですが「ほくろの細胞が皮膚の奥に沈んでいくほど、ほくろが盛り上がる」ということは、研究により判明しています。(金沢大学西原教授「色素細胞母斑,殊に組織構造を中心として」)
具体的には、「皮膚の真皮層より深い部分」にほくろの細胞があると、膨らみができやすくなることも分かっています。
赤ちゃんのほくろは自然に消える?
赤ちゃんの皮膚は新陳代謝が高いので、「ほくろは自然に消える」と思っている人もいるようです。
ですが、基本的に一度できたほくろが消えることはありません。
「ほくろとは」の項目でも説明した通り、ほくろは「ほくろの細胞が増えてかたまってできたもの」です。
また、ほくろの細胞が存在している「真皮」は、「表皮」のようにターンオーバーすることはありません。
赤ちゃんにできたほくろが気になる場合は、一度できたほくろがこれ以上大きくならないように、しっかり予防してあげることが大切です。
赤ちゃんのほくろが大きくなるのを予防する方法
紫外線を予防する
ほくろの細胞について研究されている信州大学の斎田教授によると、紫外線を浴びることで、ほくろの細胞が大きくなることが指摘されています。
- ベビー用の日焼け止めを塗る
- 長そで長ズボンを着る
- ベビーカーの日よけを積極的につける
- 帽子をかぶる
- 日陰に入る
などをして、できる限り紫外線を浴びないようにしましょう。
刺激しないようにする
日光があたらない「足の裏」もホクロができやすい場所なのですが、これは刺激によるものだとされています。
しかし「靴下をはく」とか「歩く」とかの生活上でおきる刺激は、避けようがありませんよね。
「ほくろと皮膚がんの見分け方を本気で調査!」でも説明していますが、日本人は皮膚ガンになりにくいというデータもあり、そこまで神経質になる必要はないかと思います。
ただ、「ホクロやシミのようなものがあるから、爪で何度もこする」とか「つまようじでつつく」などは、絶対にしないでくださいね。
赤ちゃんのほくろが皮膚がんかどうかを確認する方法
「このホクロ、もしかして皮膚がんかも…?」と思ったとき、
- ABCDEの法則(目視)
- ダーモスコピー検査
- 皮膚生検
で、調べることができます。
ABCDEの法則
ほくろが皮膚がんに変わるときの初期症状として、以下の「ABCDEの法則」(米国皮膚科学会)のような特徴が見られます。
これらに当てはまっていないかを、まずチェックしてください。
- 形が左右非対称である
- 端がギザギザ・モヤモヤしている(境界が鮮明なところと不鮮明なところがある)
- 色にムラがある(青・赤・白色が混じっている)
- 直径が6㎜以上ある
- 大きさ・形・色・表面の状態が急激に変化している
ダーモスコピー検査
「ABCDEの法則」に当てはまっていないかをチェックして、それでも不安な場合は、皮膚科でダーモスコピー検査を受けてください。
ダーモスコピー検査とは、「ダーモスコピー」という拡大鏡でほくろを見て、悪性化していないかを診る検査のことです。
注射をしたり皮膚を切除する必要がないので、気軽に受けることができますよ。(痛みもないので赤ちゃんにも安心!)
皮膚生検(切除検査)
ダーモスコピー検査で悪性の可能性があった場合のみ、皮膚を切除して、検査することになります。
ほくろが良性の場合は、皮膚を切って検査する必要はありません。
赤ちゃんのほくろは除去すべき?
ダーモスコピー検査を受けて「良性」だと分かった場合、体に悪い影響はないので必ずしも取る必要はありません。
ですが、最近では「見た目にどうしても気になる!」という場合、赤ちゃんもレーザー除去を受けることがあるようです。(インスタグラムで写真があがっていました)
これは、各ご家庭で決めることですので、皮膚科の先生とよく相談して決めてくださいね。